導入
技術士第一次試験の基礎科目では、基礎化学に関する問題が繰り返し出題されています。
特に、モル計算、酸化還元反応、酸化数、酸と塩基、ハロゲンの性質、腐食と防食は、過去問でもよく見られる重要テーマです。
とはいえ、機械エンジニアや理系科目から少し離れていた人にとっては、
- molの計算が苦手
- 酸化数の求め方が分からない
- 腐食や防食の用語が覚えにくい
- どこから勉強すればよいか分からない
と感じることも多いのではないでしょうか。
この記事では、技術士第一次試験の受験者や機械エンジニア初心者に向けて、基礎化学の頻出ポイントを整理します。
難しい理論に入りすぎず、試験対策で使いやすい形で、モル計算・酸化還元・腐食と防食を中心に解説します。
この記事で分かることは、次の通りです。
- モル計算と単位変換の基本
- 酸化還元反応と酸化数の求め方
- 酸と塩基、ハロゲン、両性金属のポイント
- 腐食と防食、不動態、ステンレス鋼の基礎
- 技術士第一次試験での基礎化学対策の進め方
目次
- 基礎化学で押さえたい頻出テーマ
- モル計算と単位変換の基本
- 酸化還元反応と酸化数の求め方
- 酸と塩基・ハロゲン・両性金属のポイント
- 腐食と防食の基礎知識
- 溶液の性質とコロイド
- 技術士第一次試験での基礎化学対策
- よくある質問
- まとめ
基礎化学で押さえたい頻出テーマ
技術士第一次試験の基礎化学では、大学レベルの高度な化学というよりも、高校化学〜基礎的な理工系知識が問われることが多いです。
特に重要なのは、次のようなテーマです。
- モル計算
- 単位変換
- 酸化還元反応
- 酸化数
- 酸と塩基
- ハロゲンの性質
- 両性金属
- 腐食と防食
- 不動態
- ステンレス鋼
- 沸点上昇
- コロイド
これらは一見ばらばらに見えますが、試験対策としては大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
計算で解くテーマ
モル計算、質量計算、気体の体積、濃度、沸点上昇などは、計算で解くテーマです。
このタイプの問題では、化学の知識そのものよりも、単位をそろえて考える力が重要になります。
たとえば、質量をmolに直したり、molから体積に直したりする問題では、次のような基本関係を使います。
| 内容 | 基本ルール |
|---|---|
| 1 molの粒子数 | 約 6.02 × 10²³ 個 |
| 標準状態の理想気体1 molの体積 | 22.4 L |
| 1 molの質量 | 原子量または分子量にgを付けた値 |
まずは、この3つを確実に押さえることが大切です。
ルールで解くテーマ
酸化還元反応や酸化数は、ルールを使って解くテーマです。
酸化数とは、簡単にいうと、原子が電子をどれくらい失った状態、または受け取った状態にあるかを表す目安です。
試験では、反応の細かい仕組みよりも、
- 水素は基本的に +1
- 酸素は基本的に -2
- 分子全体の酸化数の合計は 0
- イオン全体の酸化数の合計はイオンの電荷に等しい
といったルールを正しく使えるかが問われやすいです。
暗記と理解で解くテーマ
酸と塩基、ハロゲン、両性金属、腐食と防食、コロイドなどは、用語や性質を覚えて解くテーマです。
ただし、単純な丸暗記だけでは忘れやすいため、性質の違いをセットで覚えることが大切です。
たとえば、ハロゲン化水素の酸の強さは、
の順に強くなる、とセットで覚えると試験で使いやすくなります。
モル計算と単位変換の基本
基礎化学で最初に押さえたいのが、モル計算です。
molは「物質量」を表す単位です。
化学では、原子や分子の数が非常に多いため、1個、2個と数えるのではなく、molという単位を使ってまとめて扱います。
1 molとは何か
1 molとは、約 6.02 × 10²³ 個 の粒子の集まりです。
この数をアボガドロ定数といいます。
たとえば、
- 水素原子が 6.02 × 10²³ 個あると、1 mol
- 酸素分子が 6.02 × 10²³ 個あると、1 mol
- 鉄原子が 6.02 × 10²³ 個あると、1 mol
という考え方です。
つまり、molは「個数をまとめて数えるための単位」と考えると分かりやすいです。
分子量と質量の関係
モル計算では、分子量も重要です。
分子量とは、分子を構成する原子の原子量を合計した値です。
そして、分子量の数値は、その物質1 molあたりの質量gとして使えます。
たとえば、水 H₂O の場合、
- H:1 × 2 = 2
- O:16 × 1 = 16
なので、分子量は、
2 + 16 = 18
となります。
つまり、水 H₂O の1 molの質量は 18 g です。
このように、
分子量 = 1 molあたりの質量 g
と考えると、質量とmolの変換がしやすくなります。
気体の体積とmol
標準状態の理想気体では、1 molの体積は 22.4 L です。
標準状態とは、一般的には 0℃、1気圧 の状態を指します。
試験問題では「標準状態」と書かれている場合、この 22.4 L/mol を使うことが多いです。
たとえば、標準状態で酸素 O₂ が2 molある場合、体積は、
22.4 L × 2 = 44.8 L
となります。
モル計算の基本手順
モル計算では、次の流れで考えるとミスを減らしやすくなります。
- 問題文の単位を確認する
- 質量、体積、個数をmolに変換する
- molを使って必要な値を計算する
- 最後に求める単位へ戻す
特に重要なのは、いきなり計算しないことです。
まず、問題で与えられている値の単位を確認しましょう。
よく出るモル計算のパターン
技術士第一次試験では、次のような問題が出題されることがあります。
- 質量gからmolを求める
- molから標準状態の気体体積Lを求める
- 合金の質量分率からモル分率を求める
- 密度、面積、質量からめっきの厚さを求める
これらは一見すると化学の応用問題に見えますが、実際には単位変換と割合の問題として解ける場合も多いです。
たとえば、めっきの厚さを求める問題では、
体積 = 質量 ÷ 密度
厚さ = 体積 ÷ 面積
という物理の基本式を使います。
化学の知識だけでなく、単位をそろえる意識が大切です。
酸化還元反応と酸化数の求め方
基礎化学で非常に重要なのが、酸化還元反応と酸化数です。
酸化還元という言葉は難しく感じるかもしれませんが、試験対策ではまず、酸化数を正しく求められるようにすることが大切です。
酸化還元反応とは
酸化還元反応とは、簡単にいうと、電子の受け渡しが関係する反応です。
一般に、
- 電子を失うことを酸化
- 電子を受け取ることを還元
といいます。
ただし、試験問題では「これは酸化か還元か」を直接問うだけでなく、化合物中の特定の元素の酸化数を求める問題もよく見られます。
酸化数とは
酸化数とは、化合物やイオンの中で、ある原子がどの程度酸化または還元されているかを表す数値です。
厳密には電子の偏りを表す考え方ですが、試験対策ではまず、決められたルールに従って計算する数値と考えて問題ありません。
酸化数の基本ルール
酸化数を求めるときは、次のルールを使います。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 単体の酸化数 | 0 |
| 水素 H | 基本的に +1 |
| 酸素 O | 基本的に -2 |
| 分子全体 | 酸化数の合計は 0 |
| イオン全体 | 酸化数の合計はイオンの電荷に等しい |
まずは、このルールを確実に覚えましょう。
例外もありますが、技術士第一次試験の基礎化学対策では、基本ルールを使えることが優先です。
H₂SO₄の硫黄Sの酸化数
硫酸 H₂SO₄ に含まれる硫黄 S の酸化数を求めます。
水素 H は +1、酸素 O は -2 とします。
分子全体の酸化数の合計は 0 です。
(+1 × 2) + S + (-2 × 4) = 0
計算すると、
2 + S - 8 = 0
S = +6
したがって、H₂SO₄ の硫黄 S の酸化数は +6 です。
MnO₄⁻のマンガンMnの酸化数
次に、過マンガン酸イオン MnO₄⁻ のマンガン Mn の酸化数を求めます。
酸素 O は -2、イオン全体の電荷は -1 です。
イオンの場合、酸化数の合計はイオンの電荷に等しくなります。
Mn + (-2 × 4) = -1
計算すると、
Mn - 8 = -1
Mn = +7
したがって、MnO₄⁻ の Mn の酸化数は +7 です。
酸化数の大小を問う問題では、この +7 が最大値として登場することがあります。
Cr₂O₇²⁻のクロムCrの酸化数
二クロム酸イオン Cr₂O₇²⁻ のクロム Cr の酸化数も頻出パターンです。
酸素 O は -2、イオン全体の電荷は -2 です。
(2 × Cr) + (-2 × 7) = -2
計算すると、
2Cr - 14 = -2
2Cr = 12
Cr = +6
したがって、Cr₂O₇²⁻ の Cr の酸化数は +6 です。
酸化数問題の解き方のコツ
酸化数の問題では、化学式を見た瞬間に焦らないことが大切です。
次の順番で処理すると、機械的に解けます。
- 求めたい元素を x と置く
- H を +1、O を -2 とする
- 分子なら合計を 0 にする
- イオンなら合計を電荷にする
- 方程式を解く
特に、H₂SO₄、MnO₄⁻、Cr₂O₇²⁻ のような式は、何度も練習しておくと安心です。
酸と塩基・ハロゲン・両性金属のポイント
酸と塩基、ハロゲン、両性金属は、知識問題として出題されやすいテーマです。
ここでは、試験対策で優先して押さえたい内容を整理します。
酸と塩基とは
酸とは、一般に H⁺を与える物質 と考えられます。
塩基とは、一般に H⁺を受け取る物質、または水溶液中で OH⁻ を生じる物質と考えられます。
厳密な定義はいくつかありますが、基礎化学の試験対策では、まずこのイメージで理解しておくとよいでしょう。
酸の強さの比較
酸の強さは、H⁺をどれだけ放出しやすいかで考えます。
過去問対策として、次のような関係は押さえておきたいところです。
- トリフルオロ酢酸は酢酸より強い酸
- フェノールはエタノールより強い酸
トリフルオロ酢酸は、フッ素の影響によりH⁺を放出しやすくなるため、酢酸より強い酸として扱われます。
フェノールは、エタノールよりもH⁺を放出しやすいため、酸性が強いと考えられます。
最初から詳しい有機化学の理屈まで深掘りしすぎる必要はありません。
まずは、よく出る大小関係を覚えることが試験対策として有効です。
ハロゲンの性質
ハロゲンとは、周期表の第17族元素のことです。
代表的なハロゲンには、次の元素があります。
| 元素記号 | 名称 |
|---|---|
| F | フッ素 |
| Cl | 塩素 |
| Br | 臭素 |
| I | ヨウ素 |
ハロゲンは反応性が高く、化学の基礎問題でもよく扱われます。
ハロゲン化水素の酸の強さ
ハロゲン化水素とは、ハロゲンと水素からできる化合物です。
代表例は、HF、HCl、HBr、HI です。
HFはフッ化水素酸、HClは塩酸、HBrは臭化水素酸、HIはヨウ化水素酸と呼ばれます。
ハロゲン化水素の酸の強さ
ハロゲン化水素の水溶液における酸の強さは、一般に次の順で強くなります。
HF < HCl < HBr < HI
水溶液として考えると、HF が最も弱く、HI が最も強い酸です。
両性金属とは
両性金属とは、酸にも強塩基にも反応して溶ける金属です。
代表的な両性金属は、次の4つです。
| 元素記号 | 名称 |
|---|---|
| Al | アルミニウム |
| Zn | 亜鉛 |
| Sn | スズ |
| Pb | 鉛 |
覚え方として、
「ああ、すんなり」
という語呂が使われることがあります。
- あ:Al
- あ:Zn
- すん:Sn
- なり:Pb
厳密な語呂の対応はやや強引ですが、試験対策では代表元素を思い出すきっかけとして有効です。
腐食と防食の基礎知識
腐食と防食は、機械エンジニアにとって実務にも関係しやすいテーマです。
金属材料を扱う場合、腐食による強度低下や寿命低下は重要な問題になります。
そのため、基礎化学だけでなく、材料工学や機械設計の観点からも押さえておきたい内容です。
腐食とは
腐食とは、金属が周囲の環境と化学反応または電気化学反応を起こし、劣化する現象です。
代表的な例は、鉄が酸化してさびる現象です。
鉄が水や酸素と反応すると、表面にさびが発生し、材料としての性能が低下することがあります。
防食とは
防食とは、腐食を防ぐための方法や技術です。
代表的な防食方法には、次のようなものがあります。
- 塗装
- めっき
- 表面処理
- 合金化
- 電気防食
- 環境の制御
試験では、それぞれの細かい施工方法よりも、腐食を防ぐ考え方や用語の意味が問われることがあります。
不動態とは
不動態とは、金属の表面に緻密な酸化皮膜が形成され、それ以上腐食しにくくなる状態です。
不動態を作りやすい金属としては、次のようなものがあります。
- アルミニウム
- クロム
- 鉄
たとえば、アルミニウムは一見さびにくい金属として知られています。
これは表面に薄くて緻密な酸化皮膜ができ、内部を保護しているためです。
ステンレス鋼とは
ステンレス鋼とは、鉄を主成分とし、クロムやニッケルなどを含む合金です。
ステンレス鋼では、クロムによって表面に不動態皮膜が形成されやすくなり、耐食性が高まります。
ここでのポイントは、ステンレス鋼が「まったく腐食しない金属」ではないということです。
使用環境によっては腐食する場合もありますが、通常の鋼に比べて耐食性が高い材料として広く使われています。
腐食と防食で押さえるべきポイント
試験対策としては、次のように整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 腐食 | 金属が周囲の環境と反応して劣化する現象 |
| 防食 | 腐食を防ぐ方法や技術 |
| 不動態 | 表面に酸化皮膜ができ、腐食しにくくなる状態 |
| ステンレス鋼 | CrやNiを含み、耐食性を高めた鉄系合金 |
腐食と防食は、用語だけでなく「なぜ腐食しにくくなるのか」というイメージを持つと覚えやすくなります。
溶液の性質とコロイド
基礎化学では、溶液の性質やコロイドに関する問題も出題されることがあります。
ここでは、特に押さえたい沸点上昇とコロイド現象を整理します。
沸点上昇とは
沸点上昇とは、溶媒に物質が溶けることで、溶液の沸点が上がる現象です。
たとえば、水に食塩を溶かすと、純水よりも沸点が少し高くなります。
沸点上昇で重要なのは、溶けている物質の種類そのものよりも、溶液中に存在する粒子の数です。
電解質と粒子数
電解質とは、水に溶けたときにイオンに分かれる物質です。
たとえば、NaClは水に溶けると、
のように、2つのイオンに分かれます。
一方、CaCl₂は水に溶けると、
のように、3つのイオンに分かれます。
そのため、同じ濃度で比較すると、CaCl₂の方が溶液中の粒子数が多くなります。
結果として、NaClよりもCaCl₂の方が沸点上昇が大きくなると考えられます。
コロイドとは
コロイドとは、非常に小さな粒子が液体や気体の中に分散している状態のことです。
粒子は完全に溶けているわけではありませんが、通常の沈殿のようにすぐ沈むほど大きくもありません。
試験では、コロイドの詳しい理論よりも、代表的な現象名と内容の対応が問われることがあります。
チンダル現象
チンダル現象とは、コロイド溶液に光を当てたとき、光の通路が見える現象です。
たとえば、暗い部屋で光の筋が見えるようなイメージです。
コロイド粒子が光を散乱することで起こります。
電気泳動
電気泳動とは、コロイド粒子が電場の中で電極へ移動する現象です。
コロイド粒子が電荷を持っている場合、反対の電荷を持つ電極の方向へ移動します。
ブラウン運動
ブラウン運動とは、コロイド粒子が不規則に動く現象です。
周囲の分子がコロイド粒子にぶつかることで、ランダムな動きが見られます。
コロイドで押さえるべきポイント
コロイドは、現象名と内容を対応させて覚えるのが重要です。
| 現象名 | 内容 |
|---|---|
| チンダル現象 | 光の通路が見える現象 |
| 電気泳動 | コロイド粒子が電極へ移動する現象 |
| ブラウン運動 | コロイド粒子が不規則に動く現象 |
| 凝析 | 電解質を加えることでコロイド粒子が集まり沈殿する現象 |
試験対策としては、まず次の3つを優先して覚えましょう。
- チンダル現象:光の通路が見える
- 電気泳動:電極へ移動する
- ブラウン運動:不規則に動く
特に、チンダル現象と電気泳動は用語問題として問われやすいため、短い説明文とセットで覚えておくと安心です。
技術士第一次試験での基礎化学対策
技術士第一次試験の基礎化学は、範囲が広く見えます。
しかし、頻出分野を優先すれば、効率よく得点につなげることができます。
特に、次のテーマは優先度が高いです。
- モル計算
- 酸化数
- 酸化還元反応
- 酸と塩基
- ハロゲンの性質
- 両性金属
- 腐食と防食
- 沸点上昇
- コロイド
これらは、過去問でも繰り返し出題されることがあるため、まずは基本事項を確実に押さえましょう。
まずはモル計算と酸化数を優先する
基礎化学の中でも、最初に対策したいのはモル計算と酸化数です。
この2つは、暗記だけでなく、ルールを使って解ける分野です。
一度解き方を覚えると、似た問題に対応しやすくなります。
モル計算では、次の基本を押さえます。
| 内容 | 覚えること |
|---|---|
| 1 molの粒子数 | 約 6.02 × 10²³ 個 |
| 標準状態の気体1 mol | 22.4 L |
| 1 molの質量 | 原子量・分子量にgを付けた値 |
酸化数では、次の基本ルールを使います。
| 項目 | 酸化数 |
|---|---|
| 単体 | 0 |
| 水素 H | 基本的に +1 |
| 酸素 O | 基本的に -2 |
| 分子全体 | 合計が 0 |
| イオン全体 | 合計がイオンの電荷 |
特に酸化数は、H₂SO₄、MnO₄⁻、Cr₂O₇²⁻ のような頻出例を繰り返し解いておくと、試験本番でも落ち着いて対応しやすくなります。
知識問題はセットで覚える
酸と塩基、ハロゲン、両性金属、腐食と防食、コロイドは、知識問題として出題されやすい分野です。
このタイプの問題は、単語だけを覚えるよりも、関係性や比較で覚えると記憶に残りやすくなります。
たとえば、次のように整理します。
| テーマ | 覚え方 |
|---|---|
| 酸の強さ | トリフルオロ酢酸 > 酢酸、フェノール > エタノール |
| ハロゲン化水素の酸性 | HF < HCl < HBr < HI |
| 両性金属 | Al、Zn、Sn、Pb |
| 不動態 | 表面の酸化皮膜で腐食しにくくなる |
| コロイド | 現象名と内容を対応させる |
特に比較問題では、「どちらが強いか」「どちらが大きいか」を問われることがあります。
そのため、単語の意味だけでなく、大小関係も意識して覚えましょう。
過去問は選択肢まで確認する
過去問を解くときは、正解番号だけを確認して終わらせないことが大切です。
基礎化学では、似たような選択肢や同じテーマが繰り返し登場する場合があります。
そのため、間違いの選択肢も含めて、次の点を確認しましょう。
- どのテーマから出題されているか
- 計算問題か、知識問題か
- 同じ化学式や用語が繰り返し出ていないか
- 選択肢のどこが誤りなのか
- 次に同じ問題が出たらどう解くか
たとえば、酸化数の問題であれば、正解だけでなく、他の選択肢の酸化数も計算してみると理解が深まります。
計算問題は単位をそろえる
モル計算やめっき厚さの計算では、単位の扱いが重要です。
よくあるミスは、次のようなものです。
- gとkgを混同する
- cm²とm²を混同する
- Lとm³を混同する
- 密度の単位を確認しない
- molに変換せずに計算を進める
試験本番では焦りやすいため、計算前に単位をそろえる習慣をつけておきましょう。
特に、めっき厚さのような問題では、
体積 = 質量 ÷ 密度
厚さ = 体積 ÷ 面積
という流れを意識します。
化学の問題に見えても、実際には物理や数学の基本で解けることがあります。
暗記だけでなく「なぜそうなるか」を軽く理解する
基礎化学は暗記も必要ですが、すべてを丸暗記しようとすると忘れやすくなります。
たとえば、不動態であれば、
金属表面に緻密な酸化皮膜ができる
↓
内部が保護される
↓
腐食しにくくなる
という流れで理解します。
また、沸点上昇であれば、
溶液中の粒子数が多い
↓
沸点上昇が大きくなる
と考えます。
このように、現象の流れを簡単に理解しておくと、選択肢の正誤判断がしやすくなります。
基礎化学の頻出ポイント一覧
最後に、この記事で扱った内容を一覧で整理します。
| 分野 | 頻出ポイント | 覚えること |
|---|---|---|
| モル計算 | mol、質量、体積 | 1 mol = 6.02×10²³ 個、標準状態で22.4 L |
| 単位変換 | 質量、密度、面積、厚さ | 単位をそろえて計算する |
| 酸化数 | H₂SO₄、MnO₄⁻、Cr₂O₇²⁻ | Hは+1、Oは-2、合計ルール |
| 酸と塩基 | 酸の強さ | H⁺を放出しやすいほど強い酸 |
| ハロゲン | HF、HCl、HBr、HI | HF < HCl < HBr < HI |
| 両性金属 | Al、Zn、Sn、Pb | 酸にも強塩基にも溶ける |
| 腐食と防食 | 不動態、ステンレス鋼 | 酸化皮膜で腐食しにくくなる |
| 沸点上昇 | 電解質と粒子数 | 粒子数が多いほど沸点上昇が大きい |
| コロイド | チンダル現象、電気泳動 | 現象名と内容を対応させる |
この表を使って、試験前に短時間で復習するのもおすすめです。
よくある質問
基礎化学は技術士第一次試験でどのくらい重要ですか?
基礎化学は、技術士第一次試験の基礎科目で出題される可能性がある重要分野です。
特に、モル計算、酸化還元反応、酸化数、腐食と防食などは、繰り返し出題されやすいテーマとして押さえておきたい内容です。
すべてを深く学ぶ必要はありませんが、頻出テーマを優先して対策することで、得点につなげやすくなります。
モル計算が苦手な場合、何から始めればよいですか?
まずは、質量gとmolの変換から始めるのがおすすめです。
基本は次の関係です。
物質量 mol = 質量 g ÷ 分子量
たとえば、水 H₂O の分子量は18なので、水18gは1molです。
このような基本問題を繰り返すことで、molの感覚がつかみやすくなります。
その後、標準状態の気体体積22.4L/molや、粒子数6.02×10²³個との変換に進むとよいでしょう。
酸化数の計算で最低限覚えるべきことは何ですか?
最低限、次の4つを覚えましょう。
- 水素 H は基本的に +1
- 酸素 O は基本的に -2
- 分子全体の酸化数の合計は 0
- イオン全体の酸化数の合計はイオンの電荷に等しい
このルールを使えば、H₂SO₄、MnO₄⁻、Cr₂O₇²⁻ などの酸化数を求めることができます。
例外もありますが、まずは基本ルールを使って解ける問題を確実に取ることが大切です。
ハロゲン化水素の酸の強さはどう覚えればよいですか?
ハロゲン化水素の酸の強さは、次の順番で覚えます。
HFが最も弱く、HIが最も強い酸です。
試験対策では、まずこの順番を暗記しておくとよいでしょう。
ハロゲンの問題では、F、Cl、Br、Iの並びや性質の違いもあわせて確認しておくと安心です。
両性金属とは何ですか?
両性金属とは、酸にも強塩基にも反応して溶ける金属です。
代表的な両性金属は、次の4つです。
- Al:アルミニウム
- Zn:亜鉛
- Sn:スズ
- Pb:鉛
試験対策では、まずこの4つを覚えることが大切です。
不動態とは何ですか?
不動態とは、金属表面に緻密な酸化皮膜ができ、それ以上腐食しにくくなる状態です。
たとえば、アルミニウムやクロムは表面に酸化皮膜を作りやすく、内部を保護します。
ステンレス鋼の耐食性も、この不動態皮膜と関係があります。
ステンレス鋼は腐食しない金属ですか?
ステンレス鋼は耐食性の高い金属材料ですが、まったく腐食しないわけではありません。
ステンレス鋼は、クロムなどの働きにより表面に不動態皮膜を形成し、通常の鋼より腐食しにくくなっています。
ただし、塩化物イオンが多い環境など、条件によっては腐食することがあります。
そのため、試験対策では「ステンレス鋼=絶対に腐食しない」ではなく、耐食性を高めた鉄系合金として理解しておきましょう。
コロイドでよく出る現象は何ですか?
コロイドでは、次の現象がよく出ます。
- チンダル現象
- 電気泳動
- ブラウン運動
- 凝析
特に、チンダル現象は「光の通路が見える現象」、電気泳動は「コロイド粒子が電極へ移動する現象」として覚えておきましょう。
まとめ
技術士第一次試験の基礎化学では、難しい化学理論を細かく理解するよりも、頻出テーマを確実に押さえることが重要です。
特に、次の分野は優先して対策しましょう。
- モル計算
- 単位変換
- 酸化還元反応
- 酸化数
- 酸と塩基
- ハロゲンの性質
- 両性金属
- 腐食と防食
- 沸点上昇
- コロイド
モル計算では、1 molの粒子数、標準状態の気体体積、分子量と質量の関係を押さえます。
酸化数では、
- Hは +1
- Oは -2
- 分子全体は合計0
- イオン全体は電荷に等しい
という基本ルールを使って、機械的に計算できるようにしましょう。
また、腐食と防食では、不動態やステンレス鋼の考え方を理解しておくと、材料分野の問題にも対応しやすくなります。
基礎化学は範囲が広く見えますが、頻出パターンを押さえれば得点源にしやすい分野です。
まずは、モル計算と酸化数から優先的に復習し、過去問で知識を確認していきましょう。


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