技術士第一次試験の数学対策|線形代数・微積分の頻出ポイントを解説

技術士第一次試験の数学対策として線形代数と微積分の頻出ポイントを解説する記事のアイキャッチ画像 資格
  1. 導入
  2. 目次
  3. 技術士第一次試験の数学で押さえるべき分野
    1. 線形代数とは
    2. ベクトルとは
    3. 微分積分とは
  4. 線形代数の基礎:行列の積・行列式・逆行列
    1. 行列とは
    2. 行列の積
    3. 行列式
    4. 逆行列
    5. 行列で押さえるべきポイント
  5. ベクトルの基礎:内積と外積の違い
    1. ベクトルとは
    2. 内積とは
    3. 内積で重要な直交条件
    4. 外積とは
    5. 外積の向き
    6. 外積で重要な平行条件
    7. 内積と外積の比較
  6. 微分積分の基礎:頻出公式と考え方
    1. 微分とは
    2. 基本的な微分公式
    3. 積の微分
    4. 合成関数の微分
    5. 極大・極小
    6. 極大・極小の試験での考え方
    7. テイラー展開・マクローリン展開
    8. 微分積分で押さえるべきポイント
  7. 試験で数学を得点源にする勉強法
    1. 公式を意味とセットで覚える
    2. 優先して覚えたい公式
    3. 計算ミスしやすいポイントを確認する
    4. 過去問で出題パターンを確認する
    5. 正誤問題では定義に戻る
  8. よくある質問
    1. 技術士第一次試験の数学は難しいですか?
    2. 線形代数では何を優先して勉強すべきですか?
    3. 行列の積で注意することは何ですか?
    4. 逆行列はどのようなときに存在しませんか?
    5. 内積と外積の違いは何ですか?
    6. 直交するベクトルの内積はなぜ0になるのですか?
    7. 平行なベクトルの外積はなぜ0になるのですか?
    8. 微分積分ではどの公式を優先して覚えるべきですか?
    9. 極大・極小はどのように求めますか?
    10. テイラー展開・マクローリン展開は覚える必要がありますか?
    11. 数学が苦手な場合、どこから勉強すればよいですか?
  9. まとめ

導入

技術士第一次試験や機械設計の基礎学習では、数学(線形代数・微積分)の知識が必要になる場面があります。

特に、行列の積、行列式、逆行列、ベクトルの内積・外積、基本的な微分積分は、試験でも問われやすい重要分野です。

数学が苦手な方にとっては難しく感じるかもしれませんが、技術士第一次試験で出題される数学は、基本公式や考え方を押さえていれば対応できる問題もあります。

この記事では、機械設計初心者や技術士第一次試験の受験者向けに、線形代数・微積分の頻出ポイントをわかりやすく整理します。

この記事で分かることは、次の通りです。

  • 技術士第一次試験で押さえたい数学の基本
  • 行列の積・行列式・逆行列の考え方
  • ベクトルの内積と外積の違い
  • 基本的な微分積分の公式
  • 試験で得点につなげる勉強のポイント

数学は、公式を忘れていると手が止まりやすい分野です。
一方で、覚えるべきポイントを整理すれば、比較的得点源にしやすい分野ともいえます。

目次

  • 技術士第一次試験の数学で押さえるべき分野
  • 線形代数の基礎:行列の積・行列式・逆行列
  • ベクトルの基礎:内積と外積の違い
  • 微分積分の基礎:頻出公式と考え方
  • 試験で数学を得点源にする勉強法
  • よくある質問
  • まとめ

技術士第一次試験の数学で押さえるべき分野

技術士第一次試験の数学では、複雑な計算力だけでなく、基本的な定義や公式を正しく理解しているかが問われます。

特に重要なのは、次の3つです。

  • 線形代数
  • ベクトル
  • 微分積分

これらは、機械設計や工学分野の基礎にもつながる内容です。

線形代数とは

線形代数とは、主に行列ベクトルを扱う数学分野です。

行列は、複数の数値をまとめて扱うための道具です。
連立方程式、座標変換、構造解析、制御工学など、工学分野でも広く使われます。

技術士第一次試験の対策としては、まず次の内容を押さえておきましょう。

  • 行列の積
  • 行列式
  • 逆行列

ベクトルとは

ベクトルとは、大きさと向きを持つ量です。

たとえば、力、速度、加速度、変位などはベクトルとして扱われます。
機械設計では、力のつり合いやトルクの考え方にも関係します。

試験対策では、特に次の2つが重要です。

  • 内積
  • 外積

内積と外積は名前が似ていますが、結果や意味が異なります。
この違いは、正誤問題でも問われやすいポイントです。

微分積分とは

微分積分は、変化や面積を扱う数学です。

微分は、簡単にいうと「変化の速さ」や「グラフの傾き」を求める考え方です。
積分は、面積や累積量を求める考え方です。

機械設計では、速度、加速度、曲げモーメント、荷重分布、最適化などに関係します。

試験対策では、次の内容を優先して確認しましょう。

  • 基本的な微分公式
  • 積の微分
  • 合成関数の微分
  • 極大・極小
  • テイラー展開・マクローリン展開

線形代数の基礎:行列の積・行列式・逆行列

線形代数の中でも、行列は頻出しやすい分野です。

特に、2次行列の計算は基本として押さえておきたいところです。

行列とは

行列とは、数を縦横に並べたものです。

たとえば、2行2列の行列は次のように表されます。

A=(abcd)A=\left( \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right)

このように、数字を表のように並べたものが行列です。

行列は、複数の数値をまとめて計算したり、変換を表したりするときに使われます。

行列の積

行列の積は、普通の数の掛け算とは少し違います。

基本的には、前の行列の行後ろの行列の列を対応させて、掛け算して足し合わせます。

ここで重要なのは、行列の掛け算では、一般に次の関係が成り立たないことです。

ABBAAB \neq BA

つまり、行列では掛ける順番を入れ替えると、結果が変わる場合があります。

通常の数の掛け算では、順番を入れ替えても結果は同じです。
しかし、行列では同じように考えると間違えることがあります。

試験では、「行列の積は交換可能である」というような選択肢が出る場合があります。
このような場合は、一般には正しくないと判断します。

行列式

行列式は、正方行列に対して定義される値です。

正方行列とは、行数と列数が同じ行列のことです。
たとえば、2行2列や3行3列の行列が正方行列です。

2次正方行列を次のように表します。

A=(abcd)A=\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}a & b \\\\ \rule{0pt}{1em}c & d \end{array} \right)

このとき、行列式は次の式で求めます。

|A|=adbc|A| = ad – bc

または、次のように表すこともあります。

detA=adbc\det A = ad – bc

行列式は、逆行列が存在するかどうかを判断するときにも使います。

逆行列

逆行列とは、ある行列に掛けると単位行列になる行列です。

単位行列とは、対角成分が1で、それ以外が0の行列です。

2次の単位行列は次のように表されます。

A=(1001)A=\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}1 & 0 \\ \rule{0pt}{1em}0 & 1 \end{array} \right)

行列 $A$ に対して、次の関係を満たす行列が逆行列です。

AA1=A1A=IAA^{-1} = A^{-1}A = I

2次正方行列

A=(abcd)A=\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}a & b \\\\ \rule{0pt}{1em}c & d \end{array} \right)

の逆行列は、次の式で表されます。

A1=1adbc(dbca)A^{-1}=\frac{1}{ad-bc}\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}d & -b \\\\ \rule{0pt}{1em}-c & a \end{array} \right)

ただし、ここで注意が必要です。

adbc=0ad – bc = 0

の場合、逆行列は存在しません。

これは非常に重要なポイントです。

試験では、行列式が0のときにも逆行列が存在するように見せかける問題が出ることがあります。
そのため、逆行列を考えるときは、まず行列式が0でないかを確認しましょう。

行列で押さえるべきポイント

行列分野では、まず次の内容を確実に理解しておきましょう。

項目重要ポイント
行列の積一般に ABBAAB \neq BA
行列式2次行列では detA=adbc\det A = ad – bc
逆行列以下なら存在しないadbc=0ad – bc = 0

特に、行列式と逆行列の関係は頻出です。

ベクトルの基礎:内積と外積の違い

ベクトルでは、内積と外積の違いを正しく理解することが重要です。

どちらもベクトル同士の計算ですが、結果の種類が異なります。

ベクトルとは

ベクトルとは、大きさと向きを持つ量です。

たとえば、次のような量はベクトルとして扱えます。

  • 速度
  • 加速度
  • 変位

一方で、温度や質量のように大きさだけを持つ量はスカラーと呼ばれます。
スカラーとは、向きを持たない数値のことです。

内積とは

内積は、2つのベクトルからスカラーを求める計算です。
スカラーとは、向きを持たない数値のことです。

内積は次のように表します。

ab\vec{a} \cdot \vec{b}

公式は次の通りです。

ab=|a||b|cosθ\vec{a} \cdot \vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta

ここで、θ\theta は2つのベクトルがなす角度です。

成分で表すと、次のようになります。

ab=a1b1+a2b2+a3b3\vec{a} \cdot \vec{b}= a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3

内積は、仕事量の計算などに使われます。

たとえば、力と移動方向が同じ向きなら仕事量は大きくなります。
一方で、力と移動方向が直交している場合、仕事は0になります。

内積で重要な直交条件

内積で特に重要なのは、2つのベクトルが直交している場合です。

直交とは、2つのベクトルが垂直に交わることです。
つまり、なす角が90度の状態です。

このとき、次の関係になります。

cos90=0\cos 90^\circ = 0

そのため、内積は0になります。

ab=0\vec{a} \cdot \vec{b} = 0

これは試験で非常によく使う考え方です。

「2つのベクトルが直交する条件を求める」という問題では、内積が0になることを利用します。

外積とは

外積は、2つのベクトルから新しいベクトルを求める計算です。

外積は次のように表します。

a×b\vec{a} \times \vec{b}

内積の結果はスカラーでしたが、外積の結果はベクトルです。
ここが大きな違いです。

外積の大きさは次の式で表されます。

|a×b|=|a||b|sinθ|\vec{a} \times \vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta

これは、2つのベクトルが作る平行四辺形の面積に相当します。

外積の向き

外積の向きは、2つのベクトルの両方に垂直な向きになります。

向きは、右ねじの法則で考えることができます。

a\vec{a} から b\vec{b} へ右ねじを回したとき、ねじが進む方向が外積の向きです。

機械分野では、トルクや回転の向きを考えるときに関係します。

外積で重要な平行条件

外積で重要なのは、2つのベクトルが平行な場合です。

平行な場合、2つのベクトルが作る平行四辺形の面積は0になります。
そのため、外積の大きさも0です。

|a×b|=0|\vec{a} \times \vec{b}| = 0

また、外積は順番を入れ替えると向きが逆になります。

a×b(b×a)\vec{a} \times \vec{b}-(\vec{b} \times \vec{a})

この性質も、試験で問われやすいポイントです。

内積と外積の比較

内積と外積の違いを整理すると、次のようになります。

項目内積外積
記号ab\vec{a} \cdot \vec{b}a×b\vec{a} \times \vec{b}
結果スカラーベクトル
関係する三角関数cosθ\cos\thetasinθ\sin\theta
重要条件直交すると0平行だと0
主な用途仕事量、角度の判定トルク、回転、法線方向

内積と外積は、名前が似ているため混同しやすい分野です。
まずは、内積はスカラー、外積はベクトルと覚えておきましょう。

微分積分の基礎:頻出公式と考え方

微分積分では、まず基本的な微分公式を確実に押さえることが大切です。

難しい応用問題に取り組む前に、基本公式を使える状態にしておきましょう。

微分とは

微分とは、関数の変化の速さを求める操作です。

グラフで考えると、ある点における接線の傾きを求めることに対応します。

たとえば、位置を時間で微分すると速度になります。
速度を時間で微分すると加速度になります。

このように、微分は工学分野でもよく使われる考え方です。

基本的な微分公式

まず覚えておきたい微分公式は次の通りです。

(xn)=nxn1(x^n)’ = nx^{n-1}
(sinx)=cosx(\sin x)’ = \cos x
(cosx)=sinx(\cos x)’ = -\sin x
(ex)=ex(e^x)’ = e^x

特に、cosx\cos x を微分すると sinx-\sin x になる点は、符号ミスが起こりやすいので注意しましょう。

積の微分

2つの関数の積を微分するときは、積の微分公式を使います。

(fg)=fg+fg(fg)’ = f’g + fg’

ここで注意したいのは、単純にそれぞれを微分して掛けるだけではないということです。

誤った考え方として、次のようにしてしまうケースがあります。

(fg)=fg(fg)’ = f’g’

これは一般には正しくありません。

積の微分では、片方を微分してもう片方をそのまま残す形が必要です。

合成関数の微分

合成関数とは、関数の中にさらに関数が入っている形です。

たとえば、次のような関数です。

y=sin(2x)y = \sin(2x)

この場合、外側の関数は sin\sin、内側の関数は 2x2x です。

合成関数の微分では、外側を微分したあとに、内側の微分を掛けます。

(sin(2x))=cos(2x)×2(\sin(2x))’ = \cos(2x) \times 2

したがって、次のようになります。

(sin(2x))=2cos(2x)(\sin(2x))’ = 2\cos(2x)

合成関数の微分は、最初は難しく感じるかもしれません。
しかし、試験では基本的な形が出ることもあるため、考え方を押さえておくと安心です。

極大・極小

極大・極小とは、関数のグラフにおける山や谷のような点です。

極大は、周囲と比べて値が大きい点です。
極小は、周囲と比べて値が小さい点です。

極大・極小を求めるときは、まず関数を微分します。

そして、次の条件を満たす点を探します。

f(x)=0f'(x) = 0

これは、グラフの接線の傾きが0になる点を探しているということです。

ただし、f(x)=0f'(x)=0 となる点が必ず極大・極小になるとは限りません。
その点の前後で、関数が増加から減少に変わるのか、減少から増加に変わるのかを確認する必要があります。

極大・極小の試験での考え方

試験では、次の流れで考えると整理しやすくなります。

  1. 関数 f(x)f(x) を微分する
  2. f(x)=0f'(x)=0 となる点を求める
  3. その前後の増減を確認する
  4. 極大値または極小値を判断する

機械設計では、最大曲げモーメントや最適条件を求める場面でも、微分の考え方が使われます。

テイラー展開・マクローリン展開

テイラー展開とは、複雑な関数を多項式で近似する方法です。

マクローリン展開は、テイラー展開の一種で、0のまわりで展開する場合を指します。

代表的な例として、exe^x の展開があります。

ex1+x+x22!+x33!+e^x \approx 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \cdots

試験では、展開式の最初の数項を問われることがあります。

すべてを完璧に覚える必要はありませんが、代表的な展開式は確認しておくとよいでしょう。

微分積分で押さえるべきポイント

微分積分では、次の点を優先して押さえましょう。

項目重要ポイント
微分変化の速さ・接線の傾き
基本公式(xn)=nxn1(x^n)’ = nx^{n-1}
三角関数(sinx)=cosx(\sin x)’ = \cos x(cosx)=sinx(\cos x)’ = -\sin x
極大・極小f(x)=0f'(x)=0 を使う
テイラー展開複雑な関数を多項式で近似する

試験で数学を得点源にする勉強法

数学を得点源にするには、難しい問題をいきなり解くよりも、頻出ポイントを確実に押さえることが大切です。

公式を意味とセットで覚える

数学の公式は、丸暗記だけでもある程度対応できます。
しかし、意味を理解しておくと、選択肢問題や正誤問題で判断しやすくなります。

たとえば、内積は2つのベクトルの向きの関係を表します。
直交していれば内積は0です。

外積は、2つのベクトルが作る面積や、それらに垂直な方向を考える計算です。
平行であれば外積は0です。

このように、公式と意味をセットで覚えると、忘れにくくなります。

優先して覚えたい公式

まずは、次の公式や性質を優先して覚えましょう。

分野覚えたい公式・性質
行列ABBAAB \neq BA
行列式detA=adbcdetA=ad-bc
逆行列adbc=0ad – bc = 0 なら存在しない
内積ab=|a||b|cosθ\vec{a} \cdot \vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta
外積|a×b|=|a||b|sinθ|\vec{a} \times \vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta
微分(xn)=nxn1(x^n)’ = nx^{n-1}
極大・極小f(x)=0f'(x)=0

これらは基本中の基本ですが、試験では非常に重要です。

計算ミスしやすいポイントを確認する

数学では、考え方が合っていても計算ミスで失点することがあります。

特に注意したいのは、符号ミスです。

  • 逆行列の b-bc-c
  • (cosx)=sinx(\cos x)’ = -\sin x
  • 外積は順番を入れ替えると符号が変わる

このあたりは、試験本番でも間違えやすいポイントです。

過去問で出題パターンを確認する

基本公式を覚えたら、過去問や類題で確認しましょう。

試験対策では、すべての範囲を深く学ぶよりも、出題されやすいパターンを優先することが重要です。

特に、数学が苦手な場合は、次のような順番で進めると取り組みやすくなります。

  1. 基本公式を確認する
  2. 例題を解く
  3. 過去問を解く
  4. 間違えた問題だけ復習する
  5. 同じ形式の問題をもう一度解く

一度解けなかった問題でも、復習して解けるようになれば得点源になります。

正誤問題では定義に戻る

技術士第一次試験では、計算だけでなく正誤判断が必要な問題もあります。

その場合は、あいまいな記憶で判断せず、定義に戻ることが大切です。

たとえば、次のように考えます。

  • 内積の結果はスカラーか
  • 外積の結果はベクトルか
  • 行列の積は順番を入れ替えてよいか
  • 行列式が0のとき逆行列はあるか
  • 極大・極小では何を微分するのか

基本定義を押さえておけば、選択肢を消去しやすくなります。

よくある質問

技術士第一次試験の数学は難しいですか?

技術士第一次試験の数学は、範囲が広く感じられるため、最初は難しく見えることがあります。

ただし、すべてを深く理解しようとするよりも、まずは頻出する基本公式や性質を押さえることが大切です。

特に、次の分野は基本を整理しておくと得点につなげやすくなります。

  • 行列の積
  • 行列式
  • 逆行列
  • ベクトルの内積・外積
  • 基本的な微分公式
  • 極大・極小の考え方

数学が苦手な場合でも、出題されやすいパターンを優先して学習すれば、得点源にできる可能性があります。

線形代数では何を優先して勉強すべきですか?

線形代数では、まず行列の積、行列式、逆行列を優先して勉強しましょう。

特に、2次正方行列の行列式は重要です。

|A|=adbc|A|=ad-bc

2次正方行列 AA を次のように表す場合、

A=(abcd)A=\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}a & b \\\\ \rule{0pt}{1em}c & d \end{array} \right)

行列式は adbcad-bc で求めます。

また、adbc=0ad-bc=0 の場合、逆行列は存在しません。
この点は試験でも問われやすいため、必ず押さえておきましょう。

行列の積で注意することは何ですか?

行列の積では、掛ける順番に注意が必要です。

通常の数の掛け算では、順番を入れ替えても結果は変わりません。
しかし、行列では一般に次の関係が成り立ちます。

ABBAAB \neq BA

つまり、ABABBABA は同じ結果になるとは限りません。

試験では、「行列の積は交換可能である」といった選択肢が出ることがあります。
このような表現が出た場合は、一般には正しくないと判断します。

逆行列はどのようなときに存在しませんか?

2次正方行列の場合、行列式が0になると逆行列は存在しません。

2次正方行列 AA を次のように表すとします。

A=(abcd)A=\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}a & b \\\\ \rule{0pt}{1em}c & d \end{array} \right)

このとき、行列式は次の通りです。

|A|=adbc|A|=ad-bc

そして、次の条件のとき逆行列は存在しません。

adbc=0ad-bc=0

逆に、adbc0ad-bc \neq 0 であれば、2次正方行列の逆行列は次のように表せます。

A1=1adbc(dbca)A^{-1}=\frac{1}{ad-bc}\left( \begin{array}{cc} \rule{0pt}{0.5em}d & -b \\\\ \rule{0pt}{1em}-c & a \end{array} \right)

試験では、まず行列式が0かどうかを確認する習慣をつけるとよいでしょう。

内積と外積の違いは何ですか?

内積と外積の大きな違いは、計算結果の種類です。

内積の結果はスカラーです。
スカラーとは、向きを持たない数値のことです。

一方、外積の結果はベクトルです。
ベクトルとは、大きさと向きを持つ量のことです。

内積は次のように表します。

ab=|a||b|cosθ\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta

外積の大きさは次のように表します。

|a×b|=|a||b|sinθ|\vec{a}\times\vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta

覚え方としては、まず次の2点を押さえると整理しやすいです。

  • 内積はスカラーになる
  • 外積はベクトルになる

さらに、内積は直交条件、外積は平行条件と関係します。

直交するベクトルの内積はなぜ0になるのですか?

内積の公式は次の通りです。

ab=|a||b|cosθ\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta

ここで、θ\theta は2つのベクトルがなす角度です。

2つのベクトルが直交している場合、なす角は90度です。
そのため、次の関係になります。

cos90=0\cos 90^\circ=0

したがって、内積は次のようになります。

ab=0\vec{a}\cdot\vec{b}=0

つまり、2つのベクトルが直交しているかどうかを判断したいときは、内積が0になるかを確認すればよいということです。

平行なベクトルの外積はなぜ0になるのですか?

外積の大きさは、次の式で表されます。

|a×b|=|a||b|sinθ|\vec{a}\times\vec{b}|=|\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta

2つのベクトルが平行な場合、なす角は0度または180度です。

このとき、

sin0=0\sin 0^\circ=0

または、

sin180=0\sin 180^\circ=0

となります。

そのため、外積の大きさは0になります。

外積は、2つのベクトルが作る平行四辺形の面積に対応します。
平行な場合は平行四辺形がつぶれて面積が0になるため、外積も0になると考えると理解しやすいです。

微分積分ではどの公式を優先して覚えるべきですか?

まずは、基本的な微分公式を優先して覚えましょう。

代表的な公式は次の通りです。

(xn)=nxn1(x^n)’=nx^{n-1}
(sinx)=cosx(\sin x)’=\cos x
(cosx)=sinx(\cos x)’=-\sin x
(ex)=ex(e^x)’=e^x

また、積の微分もよく使います。

(fg)=fg+fg(fg)’=f’g+fg’

特に、(cosx)=sinx(\cos x)’=-\sin x は符号ミスが起こりやすいので注意が必要です。

極大・極小はどのように求めますか?

極大・極小を求めるときは、まず関数を微分します。

そして、次の条件を満たす点を探します。

f(x)=0f'(x)=0

この点は、グラフの接線の傾きが0になる点です。
山や谷の候補になるため、極大・極小を求めるときの出発点になります。

ただし、f(x)=0f'(x)=0 となる点が必ず極大・極小になるとは限りません。
その点の前後で、関数が増加から減少に変わるのか、減少から増加に変わるのかを確認する必要があります。

基本的な流れは次の通りです。

  1. 関数を微分する
  2. f(x)=0f'(x)=0 となる点を求める
  3. 前後の増減を確認する
  4. 極大値または極小値を判断する

テイラー展開・マクローリン展開は覚える必要がありますか?

試験対策としては、代表的な展開式の最初の数項を確認しておくとよいでしょう。

特に、exe^x のマクローリン展開は基本例としてよく扱われます。

ex=1+x+x22!+x33!+e^x=1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\cdots

テイラー展開やマクローリン展開は、複雑な関数を多項式で近似する方法です。

すべての展開式を暗記する必要はありませんが、代表的な形を見たときに意味が分かる状態にしておくと安心です。

数学が苦手な場合、どこから勉強すればよいですか?

数学が苦手な場合は、最初からすべてを理解しようとせず、頻出ポイントに絞って学習するのがおすすめです。

まずは、次の順番で進めると取り組みやすいです。

  1. 行列式 adbcad-bc を覚える
  2. 逆行列が存在しない条件を覚える
  3. 内積と外積の違いを整理する
  4. 基本的な微分公式を覚える
  5. 過去問や例題で使い方を確認する

特に、行列、ベクトル、微分公式は、知っていれば解ける問題もあります。
苦手意識がある場合ほど、まずは基本公式を確実に使えるようにすることが大切です。

まとめ

技術士第一次試験の数学では、線形代数と微分積分の基本を押さえることが重要です。

特に、次のポイントは優先して確認しておきましょう。

  • 行列の積は、一般に ABBAAB \neq BA
  • 2次行列の行列式は |A|=adbc|A|=ad-bc
  • adbc=0ad-bc=0 の場合、逆行列は存在しない
  • 内積の結果はスカラー
  • 外積の結果はベクトル
  • 直交するベクトルの内積は0
  • 平行なベクトルの外積は0
  • 微分では基本公式と f(x)=0f'(x)=0 の考え方が重要

数学は、公式を忘れていると手が止まりやすい分野です。
しかし、基本公式と意味をセットで理解しておけば、試験で得点につなげやすくなります。

まずは、行列、内積・外積、微分公式などの頻出ポイントから復習し、過去問や例題で使い方を確認していきましょう。

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