導入
技術士第一次試験の基礎科目では、技術者として必要な基本知識が幅広く問われます。
その中でも第1群「設計・計画」では、設計の考え方、システムの信頼性、プロジェクト管理などが出題されます。
特に信頼性工学は、直列・並列システムの信頼度計算、故障率、MTBF、MTTR、稼働率など、公式を使って解ける問題が多い分野です。
公式そのものは複雑ではありませんが、直列と並列の考え方を混同するとミスにつながります。
この記事では、技術士第一次試験の基礎科目対策として、第1群「設計・計画」で押さえておきたい信頼性工学の基本をわかりやすく整理します。
目次
- 第1群「設計・計画」で問われる内容
- 信頼性工学が頻出テーマになる理由
- 直列システムの信頼度計算
- 並列システムの信頼度計算
- 複合システムの解き方
- 故障率とMTBFの関係
- 時間経過後の信頼度
- 稼働率とMTTR
- 覚えるべき公式一覧
- 試験対策のポイント
- FAQ
- まとめ
本文
第1群「設計・計画」で問われる内容
技術士第一次試験の基礎科目における第1群では、主に設計や計画に関する基礎知識が問われます。
代表的な内容は以下のとおりです。
- 設計の基本的な考え方
- システムの信頼性
- 信頼性工学
- 故障率や平均故障間隔
- 稼働率
- プロジェクト管理
- 品質や安全性に関する基本知識
この中でも、計算問題として出題されやすいのが信頼性工学です。
信頼性工学では、「システムがどれくらい故障しにくいか」「どの程度の確率で正常に動くか」を数値で扱います。
過去問でも、直列システムや並列システムの信頼度、MTBF、故障率、稼働率などが出題されています。
信頼性工学が頻出テーマになる理由
信頼性工学が技術士第一次試験で出題されやすい理由は、実務上も重要な考え方だからです。
製品や設備、システムを設計する際には、単に「動くもの」を作るだけでは不十分です。
長時間安定して動くこと、故障しても影響を小さくすること、必要なときに使える状態を維持することが求められます。
そのため、以下のような考え方が重要になります。
- 部品やシステムが正常に動く確率
- 故障が発生する頻度
- 故障から復旧するまでの時間
- システム全体としての稼働しやすさ
試験では、これらを公式に当てはめて計算する問題が出題されます。
基本パターンを押さえておけば、得点につなげやすい分野です。
直列システムの信頼度計算
直列システムとは、複数の要素が直列につながっており、すべての要素が正常に動かなければシステム全体が機能しない構成です。
例えば、部品Aと部品Bのどちらか一方でも故障すると、システム全体が停止するような場合です。
直列システムの公式
各構成要素の信頼度を R1、R2 とすると、直列システム全体の信頼度は次の式で求めます。
R直列 = R1 × R2
要素が3つ以上ある場合も同じです。
R直列 = R1 × R2 × R3 × … × Rn
直列システムでは、すべての構成要素が正常である必要があります。
そのため、各要素の信頼度を掛け合わせます。
直列システムの計算例
部品Aの信頼度が0.9、部品Bの信頼度が0.8の場合を考えます。
計算式は以下のとおりです。
0.9 × 0.8 = 0.72
したがって、システム全体の信頼度は0.72です。
直列システムでは、構成要素が増えるほど全体の信頼度は下がります。
すべての要素が正常である必要があるため、どこか1か所でも故障するとシステム全体が止まってしまうからです。
並列システムの信頼度計算
並列システムとは、複数の要素のうち、どれか1つでも正常に動けばシステム全体が機能する構成です。
例えば、予備装置を用意しておき、主装置が故障しても予備装置で動作を継続できるような構成が該当します。
並列システムの公式
並列システムの信頼度は、「すべてが故障する確率」を1から引いて求めます。
2つの要素が並列の場合、公式は次のとおりです。
R並列 = 1 − (1 − R1)×(1 − R2)
ここで、1 − R1 は要素1が故障する確率、1 − R2 は要素2が故障する確率を表します。
並列システムの計算例
部品Aの信頼度が0.9、部品Bの信頼度が0.8の場合を考えます。
まず、それぞれが故障する確率を求めます。
- 部品Aが故障する確率:1 − 0.9 = 0.1
- 部品Bが故障する確率:1 − 0.8 = 0.2
次に、両方が故障する確率を求めます。
0.1 × 0.2 = 0.02
並列システムは「どちらか一方でも正常なら機能する」ため、全体の信頼度は次のようになります。
1 − 0.02 = 0.98
したがって、並列システム全体の信頼度は0.98です。
並列システムでは、どちらか一方が故障しても、もう一方が正常であればシステムが動作します。
そのため、一般的に直列システムよりも信頼度が高くなります。
複合システムの解き方
技術士第一次試験の過去問では、直列と並列が組み合わさった複合システムが出題されることがあります。
一見すると複雑に見えますが、解き方の基本はシンプルです。
複合システムを解く手順
複合システムでは、次の順番で計算します。
- 並列部分を先に計算する
- 並列部分を1つのブロックとして扱う
- 残りの直列部分と掛け合わせる
ポイントは、複雑な信頼度ブロック図を一度に解こうとしないことです。
小さな部分に分けて、順番に簡単な形へ変換していくとミスを減らせます。
複合システムで注意するポイント
複合システムでは、直列部分と並列部分を見間違えないことが重要です。
特に注意したいのは以下の点です。
- どの部品が故障すると全体が止まるのか
- どの部品が予備として機能しているのか
- 並列部分を先に1つの信頼度としてまとめられるか
- 最後に直列の掛け算を忘れていないか
過去問演習では、信頼度ブロック図を見たら、まず並列になっている部分を探す習慣をつけるとよいでしょう。
故障率とMTBFの関係
信頼性工学では、信頼度だけでなく、故障率やMTBFもよく出題されます。
故障率とは
故障率は、単位時間あたりに故障する割合を表します。
記号では、ギリシャ文字のラムダ λ がよく使われます。
故障率が小さいほど、故障しにくいシステムと考えられます。
MTBFとは
MTBFは、Mean Time Between Failuresの略で、日本語では平均故障間隔と呼ばれます。
これは、ある故障が発生してから次の故障が発生するまでの平均時間を表します。
つまり、システムが正常に稼働している平均時間と考えることができます。
故障率とMTBFの公式
故障率 λ とMTBFは、逆数の関係にあります。
MTBF = 1 / λ
反対に、MTBFから故障率を求める場合は次のようになります。
λ = 1 / MTBF
この関係は非常に重要です。
技術士第一次試験では、数値を入れてMTBFや故障率を求める問題が出題されることがあります。
MTBFの計算例
故障率 λ が0.002の場合、MTBFは次のように求めます。
MTBF = 1 / 0.002 = 500
したがって、MTBFは500時間です。
時間経過後の信頼度
故障率が一定である場合、時間 t が経過した後の信頼度は次の式で表されます。
R(t) = e^(-λt)
それぞれの意味は以下のとおりです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| R(t) | 時間t経過後の信頼度 |
| e | 自然対数の底 |
| λ | 故障率 |
| t | 経過時間 |
この式は、故障率が一定で、指数分布に従う場合に使われます。
試験での押さえ方
この式は見慣れないと難しく感じるかもしれません。
しかし、試験対策としてはまず次の点を押さえましょう。
- 故障率が大きいほど信頼度は下がりやすい
- 時間が長くなるほど信頼度は下がる
- λt が大きくなるほど R(t) は小さくなる
計算そのものよりも、式の意味を理解しておくことが大切です。
稼働率とMTTR
システムを運用する場合、故障しないことだけでなく、故障した後にどれだけ早く復旧できるかも重要です。
ここで登場するのが、稼働率とMTTRです。
MTTRとは
MTTRは、Mean Time To Repairの略で、日本語では平均修理時間と呼ばれます。
これは、故障が発生してから修理が完了するまでの平均時間を表します。
MTTRが短いほど、故障しても早く復旧できるシステムといえます。
稼働率の公式
稼働率は、システムが必要なときに正常に動いている割合を表します。
公式は次のとおりです。
稼働率 = MTBF /(MTBF + MTTR)
この式からわかるように、稼働率を高めるには次の2つが重要です。
- MTBFを長くする
- MTTRを短くする
つまり、故障しにくく、故障しても早く直せるシステムほど稼働率が高くなります。
稼働率の計算例
MTBFが900時間、MTTRが100時間の場合、稼働率は次のようになります。
稼働率 = 900 /(900 + 100)
= 900 / 1000
= 0.9
したがって、稼働率は0.9、つまり90%です。
覚えるべき公式一覧
信頼性工学では、まず基本公式を確実に覚えることが重要です。
技術士第一次試験では、以下の公式を優先して押さえておきましょう。
| 項目 | 公式 | ポイント |
|---|---|---|
| 直列システム | R = R1 × R2 × … × Rn | すべて正常に動く必要がある |
| 並列システム | R = 1 −(1 − R1)×(1 − R2) | すべて故障する確率を1から引く |
| MTBF | MTBF = 1 / λ | 故障率の逆数 |
| 故障率 | λ = 1 / MTBF | MTBFの逆数 |
| 時間経過後の信頼度 | R(t) = e^(-λt) | 故障率一定の場合に使う |
| 稼働率 | 稼働率 = MTBF /(MTBF + MTTR) | 修理時間も考慮する |
試験対策のポイント
第1群「設計・計画」の信頼性工学を対策する際は、まず基本公式を確実に覚えることが重要です。
公式の覚え方
直列システムは、すべての部品が正常でなければ全体が動きません。
そのため、信頼度をそのまま掛け合わせます。
直列 = 正常 × 正常
一方、並列システムは、どれか1つでも正常なら全体が動きます。
そのため、「全部が故障する確率」を考えて、それを1から引きます。
並列 = 1 − 全部故障
MTBFと故障率は逆数の関係です。
MTBF = 1 / λ
λ = 1 / MTBF
稼働率は、動いている時間と修理にかかる時間を含めて考えます。
稼働率 = 動いている時間 / 全体時間
稼働率 = MTBF /(MTBF + MTTR)
過去問演習で意識すること
過去問を解くときは、単に答えを覚えるのではなく、次の点を意識すると理解が深まります。
- 直列か並列かを最初に判断する
- 並列は「すべて故障する確率」を考える
- 複合システムは小さなブロックに分ける
- MTBFと故障率は逆数であると覚える
- 稼働率はMTBFとMTTRの関係で判断する
信頼性工学は、考え方を一度理解すれば同じパターンで解ける問題が多い分野です。
繰り返し演習して、計算の流れを身につけましょう。
FAQ
技術士第一次試験の第1群では何が出題されますか?
第1群では、設計・計画に関する基礎知識が出題されます。
信頼性工学、システムの信頼度、故障率、MTBF、稼働率、プロジェクト管理などが代表的なテーマです。
信頼性工学は技術士第一次試験で重要ですか?
重要です。
信頼性工学は公式を使って解ける問題が多く、過去問でも直列・並列システムの信頼度計算やMTBF、故障率に関する問題が出題されています。
基本公式を覚えることで、得点源にしやすい分野です。
直列システムの信頼度はどう求めますか?
直列システムでは、すべての要素が正常に動く必要があります。
そのため、各要素の信頼度を掛け合わせて求めます。
公式は、R直列 = R1 × R2 です。
例えば、信頼度0.9と0.8の部品が直列の場合、全体の信頼度は 0.9 × 0.8 = 0.72 です。
並列システムの信頼度はどう求めますか?
並列システムでは、どれか1つでも正常に動けばシステムが機能します。
そのため、「すべてが故障する確率」を1から引いて求めます。
公式は、R並列 = 1 −(1 − R1)×(1 − R2) です。
信頼度0.9と0.8の部品が並列の場合、全体の信頼度は 0.98 です。
MTBFとは何ですか?
MTBFはMean Time Between Failuresの略で、平均故障間隔を意味します。
故障してから次に故障するまでの平均時間を表し、システムが正常に稼働している平均時間と考えることができます。
故障率とMTBFの関係は何ですか?
故障率 λ とMTBFは逆数の関係です。
MTBF = 1 / λ
故障率が小さいほどMTBFは大きくなり、故障しにくいシステムといえます。
稼働率とは何ですか?
稼働率は、システムが必要なときに正常に動いている割合です。
MTBFとMTTRを使って求めます。
公式は、稼働率 = MTBF /(MTBF + MTTR) です。
信頼度と稼働率は同じですか?
同じではありません。
信頼度は、一定時間故障せずに動く確率です。
一方、稼働率は、修理も含めて必要なときに動いている割合を表します。
複合システムの信頼度計算はどう進めればよいですか?
複合システムでは、まず並列部分を計算し、その部分を1つのブロックとして扱います。
その後、残りの直列部分と掛け合わせると整理しやすくなります。
まとめ
技術士第一次試験の基礎科目、第1群「設計・計画」では、信頼性工学が重要な頻出テーマです。
特に以下の内容は優先して押さえておきましょう。
- 直列システムの信頼度は掛け算で求める
- 並列システムの信頼度は「すべて故障する確率」を1から引く
- 複合システムは並列部分から計算する
- 故障率とMTBFは逆数の関係にある
- 稼働率はMTBFとMTTRから求める
信頼性工学は、公式と解き方のパターンを覚えれば得点しやすい分野です。
技術士第一次試験の対策では、過去問を使って直列・並列・MTBF・稼働率の計算に慣れておくことをおすすめします。


コメント